スマートニュースでプロダクトマネージャーをやっている西岡です。ついに、退職エントリーを書く日が来てしまいました。(※退職の詳細については後述)

ニュースとテクノロジー

最近、3年前にスマートニュースで開催したイベントのレポートを見返すことがありました。現ハフィントンポスト編集長の竹下さんが当時書いてくれたポストで、これです。その中に、

テクノロジーを使ってこそ出来る報道、ニュースとデジタルの融合というのは、まだまだ始まったばかりなのではないか

という文章があります。業界でもそうですし、スマートニュースもニュースとテクノロジーを真剣に考えています。そこから、問題はより深刻化して「フィルターバブル」「エコーチェンバー」「フェイクニュース」「クリックベイト」「低品質コンテンツ」「分断化」などなど、オンラインニュース業界にまつわる様々な問題が山積みとしてあります。僕らは、テクノロジーでこれらの問題を解決していきたいし、それを今までもチャレンジをしてきたし、これからも引き続きチャレンジしていきたいです。

AI について

テクノロジーの中で最も熱いのは 、自分のなかでは、やはりAI です。「AI はマーケティング用語、バズワード」「AI は再び冬の時代に入りつつある」「AI に過剰な期待」などネガティブな面がある一方、 「シンギュラリティが近い」と言われるように人類の生活がめちゃくちゃ変わるような世界が来るとも言われています。未来のことは分からないですが、個人的には後者側の意見に賛成で、そういう世界を後押しするようなプロダクト作りをしていきたいし、そういう世界がより良いものになるように、今のうちから行動したいと思っています。間違いなく言えることはこの数年間の deep learning の進化が衝撃だったことです。そのあたりはスマートニュースの顧問をしてくれている PFN 岡野原さんのブログなどで伝わってきます。そういうなか、最近はとくに、スマートニュースのテクノロジーも、より deep learning 化していきたいと考えています。

AI / Machine Learning を支えるプラットフォームの話

deep learning 化して本番環境で使っていく上で、machine learning をより簡単に動かせる環境が必要であるという問題意識があります。自前で作るか、何か探すか、考えているころに昨年12月にリリースされた AWS SageMaker を試してみました。「TensorFlow もすんなり動くし」「モデルの管理も楽だし」「トレーニング用のインスタンスも管理しなくていいし」「エンドポイントまで作ってくれる」理想に近いものでした。スマートニュースには超絶優秀な machine learning エンジニアがたくさんいて、machine learning も Java も余裕でこなして活躍しているという現状はあります。一方、世の中には、Java とかは不得意だけど、Python で machine learning はめちゃくちゃ出来る人もたくさんいます。SageMaker などがあれば、そういう方々でも、production にコミットして活躍できるのではないかとも期待しています。

SageMaker を使ったオフラインバッチなどは、すでにうちの本番稼働していますが、先日、東京リージョンにも来ましたので、オンラインの方でも SageMaker を使っていきたいと思います。AWS さんのリリースには、弊社の社長からもコメントさせていただきました。

machine learning 自体も大事ですが、それを動かす環境というのも本当に重要なので、こういうところは今後も進化させていきたいと思います。

deep learning の話

そして、モデルの話。neural net 的なところでいえば、弊社は word2vec など本番化に早くから取り組み、サムネイル画像の分析なども deep learning ベースでやっていました。最近では、(自分はかかわっていないですが) 広告システムの方でも使われ始めているようです。

現在、記事分類を deep learning ベースに置き換え始めようとしています。色々と整備をして、CNN を使って試したところ、コード量も減り、精度も上げることに成功しました。そして現在は、記事分類に今まではテキストしか使っていなかったですが、サムネイル画像も取り込もうと思っています。それは、野球記事は、文章を読めば分かるかもしれませんが、サムネイルの野球画像を見れば一発で分かるからという理由ではじめました。画像データを簡単にとりこめるところは deep learning のメリットの1つです。まだまだ、調整は必要ですが、実験では良い感じで動いています。

このような形で、deep learning を我々のシステムを様々なところで支えて行くのを隅々まで広げていきたいです。

スマートニュースのミッションについて

「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」

スマートニュースのミッションより

私事ながら、スマートニュース株式会社を今月で退職することになりました。片道キップを持って家族でアメリカのサンフランシスコに渡り、来月から SmartNews International という会社で働くことになりました。スマートニュースは、ミッションの冒頭部分に「世界中」とはいっているように、日本だけでなく世界でプロダクトを展開しています。その中でも、アメリカはもっとも力を入れているところです。

東京で働くこと、アメリカで働くこと、この辺りはそれぞれのメリット・デメリットあるし、自分がアメリカに行ってやりたいことや出来ることはなんなのか、サンフランシスコ・ベイエリアのテックの話とか、等々、語りたいことはいっぱいあります。ここでは1つだけ紹介させてください。ミッションの2つ目の単語「良質」ということを、アメリカに行ってより理解しようと思っています。

社内でも「良質とはなんぞや?」という話はしていて、たとえば、このエントリーはタイトルからして良質じゃないです。「退職じゃないやん、社内異動やん。」というお怒りとツッコミが大半だと思います。こういう釣り記事タイトル、クリックベイト記事をこの世からなくしていくことも我々がやりたいことの1つなのです。ただし、「おっ、ひっかけたな、面白いやん」と暖かい目で見てくれる人が 1% ぐらいいるかもしれないです。ここに、「良質の情報とは?」の問いの奥深さがあるのです。

最近、社内で、なかなかユーモアセンスのある同僚と熱いディスカッションをかわしました。笑いをとりたいとき、差別やハラスメントをする意図はなくても、誰かを傷つけることがあります。自分も笑いを重視し過ぎて、失敗して、常に反省をしています。申し訳ございません。さいきん、本当は誰かを傷つけているのに過去は見過ごされていた笑いが「それは間違っている」と徐々に声をあげることが出来る状況になりつつあるのではないかと感じています。これは歓迎すべきことだし、こういう流れはもっともっと加速していき、そういう笑いは撲滅していって欲しいです。ただ、これが間違った方向に進んで、分かり合えない笑いは影で行われるようになり、社会が分断されていくことを自分とユーモアセンスのある同僚は危惧しています。やはり、ちゃんと適切に、みんなで笑える笑いをとりたいと。

アメリカは、背景が違う人々がたくさんいるなかで、ポリティカリーコレクトという単語があるように、こういうことを考える機会も圧倒的に多く、学べるのではないかと思っています。

「誰も傷つけない笑い」というのは、究極的な良質の情報の1つかもしれないです。

最後に

長々と書いてしまって、中身のないダラダラとした文章は、これまた良質から外れてしまっていると思います。

ただ、釣りタイトルまで使ってでも伝えたいことがあるのです。

このポストを読んで、「テクノロジー」「ニュース」「AI」「Python」「deep learning」「Java」「AWS」「良質」「世界」「アメリカ」「お笑い」「野球」なんでもいいので、少しでもスマートニュースに興味を持ってくれたら、我々と一緒にこの世界的な問題を解決していきませんか?おかげさまで、我々は組織を拡大することができて、絶賛、絶賛、募集中です!自分が所属している会社をほめすぎるのもカッコ悪いですが、めっちゃいい会社ですよ。優秀で熱くて面白いやつ多いし、楽しいですよ。とりあえず、下のリンクを、ぜひぜひ見て下さい。

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